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updated 2012-08-23

2011.11.14


 「東大生の視点」と題して東大生に様々なことを語ってもらうこのコーナー第5回目は、経済学部に所属のYさんにお話を聞いてきました。
テーマは「社会主義と独裁政治」です。




 社会主義と言うと、あまり良いイメージを持っていない人が多いでしょう。

 その原因は、北朝鮮・中国・ソ連といった社会主義国家が、独裁的な体制を敷いていたことにあると思います。特に北朝鮮へのイメージは悪く、金正日総書記が富を独占し、そのせいで民衆が貧困にある、という図式がすぐに浮かびます。
 しかし社会主義と言うのは本来、そのような富の集中を規制し、人民の平等を実現するというのが理想の一つであるはずです。それがなぜ、「独裁者への富の集中」と言う真逆の図式をイメージさせるものとなったのでしょうか。

 社会主義国の一つであり、社会主義国家の中で最も成功した国ともいわれる、キューバを見てみましょう。
 キューバは経済不振にあえいでいた1950年代に、ゲバラとともにカストロが革命を起こし、以来社会主義を標榜しています。現在は民主化が進んできているとはいえ、食料の配給により飢えの心配は少なく、アメリカと比べても浮浪者が少ない、平等な社会を実現していると言えるでしょう。近隣の中米の国々や、ベネズエラ、ボリビアが、近年キューバを習い社会主義的な政策を強めているほどです。

 そんな社会主義の優等生国家であるキューバですが、それでもやはり国の体制はカストロによる独裁色の強い政治が長く続いていました。現在でも弟であるラウル・カストロが元首として強い権力を保持しています。国内における規制は多岐にわたり、民宿の営業一つをとっても、国の許可が必要であり、客室数・ベッドの大きさまで管理されています。宿泊者のデータをもらい、国に送らなければなりません。
 そもそも社会主義は人民から政府へと富を集め、それを人民に平等に分配していくという体制であるため、国に強い力を与えられていなければ成り立たないものです。しかしそれにしても、規制が多いのです。

 キューバに旅行に行った友人の話によると、クラブで出会ったキューバ人が「ライフ・イズ・イージー」としきりに連呼していたそうです。彼はろくに仕事もしていないようですが、配給される食糧のおかげで生きていくことができ、たまにはクラブで遊ぶこともできるようです。大して働かなくても楽しく生きていけるということで、「ライフ・イズ・イージー」という発言に至ったのでしょう。
 その一方でキューバ大学の学生と話す機会があり、社会主義について質問すると、「社会主義は不平等だ」と発言していたそうです。まじめに働いている人も、遊んでいる人も、生活水準が変わらないのはおかしいと。
 「大学を卒業したらアメリカに亡命し、もっと大きな世界を見てみたい」と言っていたそうです。実際キューバ大学などを卒業したキューバのエリート層には、一度アメリカに亡命し、お金を稼いだ後こっそりと戻ってくるということがままあるようです。

 これらを考えると、社会主義の潜在的な欠点と、規制の強さの理由が見えてきます。当たり前のことですが、平等とは、お金を稼ぐ能力のある人間から強制的にお金を徴収し、そうではない人間に還元するということなのです。これはお金を徴収される人間に、当然少なくは無い不満を抱かせることになります。
 もし世界中がこのような平等を絶対のものとして信奉していたら、社会主義は理想的な思想になり得るかもしれません。しかし世界に資本主義の国がある限り、富を持つ人間は、どうしてもそのような平等に不満を持ってしまいます。
 社会主義を採用する国々が、強い規制、情報統制を行うのはそのためです。資本主義を知り、自分がより富むことができることを知った自国のエリート層が流出してしまっては、社会主義は立ちいかなくなってしまうのです。

 現代はインターネットの普及により、情報が容易に入手できる社会になりました。そのため言論規制が厳しい北朝鮮でも、現体制に不満を持つ国民が増えているそうです。中国でも新幹線の脱線事故を契機に体制批判が展開されるなど、社会主義体制に疑問が呈されるようになってきています。
 社会主義が自由を許さない一方、資本主義が平等と逆行していながらそれを許すことができる思想であることを考えると、資本主義の勝利は必然的なことなのでしょう。
 しかし、資本主義の結果と言われる現在の大不況を前にして、今一度自由と平等の関係性を捉え直す必要に迫られているのかもしれません。現在取りざたされているTPPの問題においても、アメリカ式自由がもたらす影響をしっかりと見極めていかなくてはならないでしょう。

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