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updated 2012-08-23

2011.10.15

 第3回目は、最近流行りのTwitterをめぐる問題についてです。文学部の社会心理学を専攻するのTさんの、まさに今を捉えた「視点」です。

 文脈のない言葉
―Twitterで生まれる誤解―


「文脈を考えろ」
 ―現代文の授業でこのような指導を受けたことのある人は多くいるでしょう。実際、これは東大も含め大学受験の現代文の問題を解く時に重要なことで、傍線が引かれた文の意味を正確に把握するには、文脈を正確に把握することが不可欠です。
 全く同じ言葉が使われていたとしても、真面目な主張なのか気の利いた冗談なのか、はたまた痛烈な皮肉なのかは文脈によって決まる。これは言葉の厄介さであると同時に面白さでもあると言えるでしょう。

 ところで、この文脈を考えることは、現代文の試験だけでなく日常生活でも重視されるべき場合が多い。しかし、実際にはそれが上手くいかないためにややこしい事態を招いてしまうことがあるのも事実だと思います。
 文脈がない言葉というのは、それに込められた意味を様々に捉えることができるために、発信者の意図とは異なるという意味で不正確な伝達をしてしまうのです。この文脈の欠如によって言葉に込められた本当の意味がわからないために誤解を生むという問題は、具体的にそんな場面で発生するでしょう。
 その身近な例の1つとして考えられるのがTwitterです。この記事を読んでいる人の中にもTwitterを利用している人がいるでしょうし、使ってはいないものの興味を持っている人もいると思います。実際、私の周りにも利用程度の差はあれTwitterを利用している友人が多くいます。
 最近話題のこの新しいメディアに、これまでのメディアにはない有用性があることはもちろん否定しません。
しかし、その一方で、Twitterによるトラブルが発生している事実も存在します。そういったトラブルの原因が第一義的には発信者にあることは否めないと思いますが、その背景には文脈ということに関係するTwitterの特性があると思います。

 ご存じの方も多いと思いますが、Twitterは1ツイートを140字以内に押さえなくてはなりません。この短さゆえに気軽に楽しめる一方、複雑な話題、微妙な話題に対して意見・感想を述べるには圧倒的に字数不足の感は否定できません。
 試しに何か大切な話で微妙なニュアンスを伝えようとするメールを作ってみれば、140字以内に収めることが案外難しいことが実感できると思います。もちろん数ツイートを使って1つの話をすることはできるでしょうが、それだとTwitterらしさが損なわれてしまうような気がして1ツイートで書いてしまおうとすることも多いのではないでしょうか。すると、結局自分の言いたいことのエッセンスだけが文字となり発信されることになります。
 しかし、こうした短くまとめられたエッセンスだけの文は、前後の文脈が分からないために誤解を生むことになりやすいと思います。

 もちろん、こういった誤解が生まれるのはTwitterだけに限ったものではないでしょう。もっと多くの字数をかけても生まれる誤解はあります。しかし、Twitterが、マスメディアなどと異なるのは、「個人」の言葉が「Twitter上でしか知らない相手」にも受け取られるという点です。これまで述べてきた文脈というのは文字通り前後の文ということでしたが、もっと広げて考えると、「発言したのは誰か」というような情報も文脈(コンテクスト)の1つだと考えられます。このような「文脈」も言葉の意味を考える際には重要です。
 簡単に言ってしまえば、言葉が交わされる状況や背景、関連知識なども言葉を定義するということです。友人や家族と会話する際には、無意識のうちに、相手の生まれ育ち、信条、冗談好きかどうかといったことを考慮できますが、Twitter上でしか知らない相手ではそうはいきません。そうすると、ツイートされた言葉が不謹慎なのか冗談なのかという判別が難しく、誤解が生まれやすいといえます。
 もっと言えば、自分にとっては自分も文脈であると言えるでしょう。自分の書いた言葉の意味は自分にとっては明らかだから、他の人もわかるだろうと考えるのは、危ないということです。普段なら気にする必要のない文脈の無さを考えないまま安易なツイートをすることが誤解を生む1つの大きな要因となっていると思います。

 以上、文脈という視点からTwitterの問題を考えてみましたが、もちろん危険だからTwitterを使うなと言うつもりは全くありません。ただ、トラブルに巻き込まれないためにも、その使い方には注意が必要だと考えるということです。
 なお、後半の、広い意味での「文脈」に関しては、言語学の分野でコンテクスト論として多くの議論がなされていますから、興味のある方は関連した本を読んでみると面白いと思います。

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