問題演習

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updated 2012-08-23

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問題

読解問題(2011/10/27)

なぜ語り手は涙を流したのか、理由を書け。

問題文

この里ちかき白峰といふ所にこそ。新院の陵ありと聞て。拝みたてまつらばやと。十月はじめつかたの山に登る。松柏は奥ふかく茂りあひて。青雲のたなびく日すら小雨そぼふるがごとし。児が嶽といふ嶮しきみねうしろに聳だちて。千仞の谷底より雲霧おひのぼれば。まのあたりをもおぼつかなきここ地せらる。木立わづかにすきたる所に。土たかく積たるが上に。石を三かさねに畳みなしたがる。荊蕀薜蘿にうづもれてうらがなしきを。これならん御墓にやと心もわきくらまされて。さらに夢現をもわきがたし。現にまのあたりに見奉りしは。紫宸清涼の御座におほまつりごときこしめさせたまふを。百の官人は。かく賢き君ぞとて。みことかしこみてつかへまつりし。近衞院に禪りましても。藐姑射の山の瓊の林にしめさせたまふを。思ひきや麋鹿のかよふ跡のみ見えて。みことつかふる人もなき深山の荊の下に神がくれたまはんとは。万乘の君にてわたらせ給ふさへ。宿世の業といふもののおそろしくもそひたてまつりて。罪をのがれさせ給はざりしよと。世のはかなきに思ひつづけて涙わき出るがごとし。

(雨月物語 白峯)

現代語訳・解答

現代語訳

この里に近い白峯と言う所に、新院の御陵があると聞いて、「拝み申し上げたい」と、十月の初めごろの山に登った。松や柏が奥知れぬほど茂りあって、白雲たなびく日でさえ小雨がそぼ降るかのようだ。児が嶽という険しい峯が背後にそそり立って、途轍もなく深い谷底から雲や霧が生まれ登ってくるので、目の前でさえはっきりしない不安な心地になってくる。木立がわずかにあいた所に、土を高く積み上げたうえに、石を三重に畳み重ねたものが、野茨や蔓に埋もれてうら悲しく、「これが御墓と言えるものなのだろうか」と落ち込ませられて、まったく夢か現実かわからなくなった。実際に目の前でお目にかかった時は、紫宸清涼で常に政治を行っておられるのを、大勢の官人は、これほど賢明な天子であられるのかと、仰せをおそれかしこみお仕えしていた。近衛院に位を譲られても、藐姑射の山の瓊の林に君臨しておられたのに、思っても見ただろうか鹿の通う足跡ばかりが残って、参り仕える人もない深山の藪の下におなくなりになっていようなんて。「最高の位にある天子でいらっしゃってさえ、前世からの運命というものが恐ろしいことに付きまとって、罪から逃れさせられなかったことよ」と、人の世の厳しいはかなさから心が離れず涙がわき出て仕方ない。

解答

生前敬われていた新院の墓がみすぼらしいもので、世のはかなさを痛感したため。

問題

読解問題

以下の文章を読み、「誰が・何を・どうしたか」を書け。

問題文

時朝大納言のもとに、昔よりめでたき硯侍り。錦の袋に入れて置かれ侍り。つかさを給はるたびに、この硯をば見るに侍りければ、おぼろけにては取り出ださるることも侍らず。しかあるに、この殿、大納言にあがり給ひて、この硯を見給ひて厨子に置き給ひてけり。大納言の待の仲太、この硯を見たくおぼえて御子の若君の十になり給へりけるを、すかしこしらへて、しのびて硯を開けて見るほどに、足音のあららかに聞えければ、こころまどひしてしたため置かむとするほどに、取りはづして落してあやなく二つに打ち割りぬ。
(『撰集抄』巻5 改定)

現代語訳・解答

現代語訳

時朝大納言のもとに、昔からすばらしい硯がありました。錦の袋に入れてお置きになりました。官職をいただくたびに、この硯を見ていましたので、並みのことではお取り出しになることもありません。そうしているうちに、この殿は大納言に昇進なさって、この硯をご覧になって厨子にお置きになった。大納言の従者の仲太は、この硯が見たく思われてお子様の若君で十歳になられた子を、騙しご機嫌を取って、こっそりと硯を開けて見ている時に、足音が荒々しく聞こえたので、当惑してきちんと置こうとする時に、手が滑って落としてむなしく二つに打ち割った。

解答

大納言の従者である仲太が、大納言の素晴らしい硯を、落して割った。